Substance Designer 15.0 がリリースされ、より強力で正確な全く新しいレンダラーが搭載されました。
さらに、ユーザー体験を向上させる機能もいくつか追加されています。
15.0を初めて起動したときに、ビューポートがしばらく黒いままになっている可能性があります。
これは、シェーダーのコンパイルが完了するまでの間だけなので、ご安心ください。一度目の起動時だけに起こる現象で、
それ以降はこれまで通り高速に立ち上がるようになります。
起動後、まず気が付く変更された点があります。環境光を回転させるホットキーです。
他の Substance 製品に合わせてついに変更されました。
これまでの Ctrl + Shift + 右クリック からShift + 右クリック に変更されています。
レンダリングについて
それではレンダリング部分について見ていきましょう。実際のプロジェクトを開いて、レンダラーがどう機能するのかを確認してみます。
今回の新しいレンダラーには、2つのモードがあります。
- リアルタイムラスタライザ(既定)
- パストレーサー
これらは、Renderer メニューまたはビューポートツールバーから切り替え可能です。
ツールバーには、他にも環境バックドロップ、地面の表示、グリッドなど、多くのビューポート設定があります。
このプロジェクトでは透過表現(Translucency)を使って水面を表現し、さらにディスプレイスメントも多用しています。
ここで、ディスプレイスメントの見え方を格段に良くする方法があります。
それは、「シャドウ」と書かれた小さなボタンをクリックするだけです。
OpenGLとの比較
違いを実感するために、一度 OpenGL モードに戻ってみましょう。
OpenGLと Iray は「非推奨」セクションにあります。
OpenGL に切り替えると、2つの大きな視覚情報が失われます:
透過表現が消える:水底が見えなくなる。
マテリアルの立体感が失われる:全体的にフラットに見えてしまい、凹凸や奥行きが読み取りづらくなる。
これは、OpenGL ではリアルタイムシャドウが描画されないためです。
一方、新しいラスタライザーモードではリアルタイムシャドウに対応しており、これにより石畳がグッと際立って見えます。
ディスプレイスメントを使用するすべてのプロジェクトにおいて、このシャドウ表現は非常に大きな違いをもたらします。
また、透過表現がリアルタイムで確認可能になったことで、たとえば川底を調整しつつ全体のコンテキストを視認しながら作業できます。
もちろん、いつでもパストレーサーに切り替えて最終結果を確認することもできます。
ディスプレイスメントやシャドウの設定
ディスプレイスメントの強さ(Height Scale)は、これまでと変わらず マテリアルプロパティで調整できます。
一方で、テッセレーション(分割の細かさ)は、今後は レンダラー設定側で管理されるようになりました。
設定場所は:
Renderer メニュー > Edit Settings
そこに「テッセレーション」関連のスライダーがあります
既定値は 1 ですが、メッシュによっては 4〜8 の範囲が安全です。
※過度に上げるとパフォーマンスに影響します。
このテッセレーション設定は、ラスタライザー・パストレーサー両方に適用されるため、Irayのようにレンダラーごとに別設定にする必要はなくなりました。
ここにはシャドウの設定もあります。
非対称タイル(Non-uniform Tiling)
次に、小さいながら嬉しい改善点として、
マテリアルのタイリングが X軸/Y軸 それぞれで個別に設定可能になりました。
非正方形のアスペクト比の環境で作業する方には特にありがたい変更です。カスタムメッシュを読み込む必要がなく、3Dビューポートメニュー[マテリアル>プロパティを編集]を選択します。
マテリアルのプロパティにてUV Scaleを変更するだけで確認できます。
ポストエフェクト(Post FX)
新しいレンダラーでは、高品質なポストエフェクトが再び使用可能になりました。
これは社内開発されたもので、カメラ設定メニューにあります。
一番重要なのはおそらく トーンマッピング(Tone Mapping)です。
たとえば Blender で作業している方は、AgX トーンマッパーを選択することで、両アプリ間でビジュアルの整合性を保つことができます。このように、他にも多くのオプションが用意されています。
さらに、Bloom(ブルーム)も用意されています。エミッシブマテリアルを使っているプロジェクトで特に便利です。
例としてこのプロジェクトでは、エミッシブの強さを確認するために
ブルームを有効にし、3つのスライダーで調整しています。
最後に紹介するのは 被写界深度(Depth of Field)です。
リアルタイムで使うには、まず有効化し、F値(F stop)を編集します。
そして Ctrl(または Cmd)+ クリックでピントを合わせたい場所を指定できます。
アーキテクチャの刷新
新しいレンダラーの導入は、リアルタイムシャドウやポストエフェクトにとどまりません。これはあくまで氷山の一角です。
今回のバージョンでは、Substance Designer の将来を見据えた技術基盤の刷新が行われており、最新技術の採用とともに、
シーン管理が USD(Universal Scene Description)ベースへと移行しています。
これにより以下のような展開が期待されます:
MaterialX によるシェーダー作成
他アプリとのシームレスな連携(ラウンドトリップ)
3Dビューでレンダリングできる表現の拡張
より基本的な目的としては、Substance 製品群全体で一貫した表示環境を提供することです。
たとえば、コーティングやサブサーフェススキャッタリングなどを表示するために都度シェーダーを変える必要がなくなります。
この取り組みの一環として、対応形式も拡充されました:
USD、PLY、STL、GLTF
テクスチャ付きシーン全体をインポート可能(ライト・カメラ含む)
コンテキスト内でのマテリアル編集
このマテリアルは、実際にはより大きなジオラマの一部です。
そのため、全体の環境と調和させるために、コンテキスト内で色味などを調整したくなります。
これまでは、以下のような手順が必要でした:
出力をエクスポート
別のアプリに読み込み
微調整して再出力、再読み込み…
しかし今は、シーン全体を Designer のビューポートに直接読み込むことができます。
これにより、アプリを切り替えることなくマテリアルを直接編集できるようになり、非常に快適です。
シーン内のアセットを選択・非表示にしたり、ナビゲートしたりするには、画面下部にある「シーンブラウザ」を使います。
リストの最上部には、Designer デフォルトのシーン(カメラとHDRI)があり、その下にインポートしたアセットが並びます。
ライトのオン/オフ切り替え
カメラの切り替え(Cameraメニューからすぐアクセス可能)
視点の変更を数クリックで完了
アセットを選ぶには、ブラウザ上でクリックするか、Shift を押しながらシーン内でクリックしてください。
Fキーで選択対象にズームShow onlyで選択オブジェクトだけを表示Escで選択解除Show allで全オブジェクトを再表示
なぜシーンをインポートするのか?
単にマテリアルを編集するだけではなく、ライティング済みのカスタムシーンを使って質感を確認することも可能です。
たとえば筆者は、粗さ(Roughness)を読みやすくするために、カーブしたプレーンとエリアライトを組み合わせたシーンを好んで使います。
シーンごとにフォルダを分けておけば、ライティングバリエーションのテストも一瞬です。
そのほかにも:
ポートフォリオ用シーンを作成し、Designer内でそのままレンダリング
プリセット環境による QA チェック
より現実的なシーンでのマテリアル検証
…など、活用の幅は広がります。