Houdiniでアニメーションを作ろう パート6:ブロッキング
ここまでのパートで、Electraが立ち上がるアニメーションが設定され、キーのタイミングを調整してブロッキングを少し長く再生できるようになりました。
次にアニメーションレイヤーを使用していきたいと思います。
パート6までのシーンがある方は、そのシーンを引き続き使用します。
シーンがない方は、SideFXのAnimationWorkshopのシーンを開き、Part2 -Animation Tools のStand UP のtry_meにDisplay フラグを設定し、Enterキーをおしてツールに切り替えます。
PaneメニューからAPEX Animation Layersを開きます。
現在、1つだけレイヤーが設定されています。
パネルを切り離して表示することも可能です。
デフォルトでは、レイヤーの種類は『Additive(加算)』に設定されていますが、『Override(上書き)』に切り替えることも可能です。
選択セットがすでに設定されているため、作業のスピードアップにも役立ちます。
たとえば、既存のアニメーションの上にさらにアニメーションを追加したい場合、今回はSelection Setsで『Electra Block』を選択し、Animation LayerにてLayerを追加します。
選択したコントロールからレイヤーを作成できました。
レイヤー名をダブルクリックして『Adjust』など好きな名前に変更します。
わかりやすくするために色分けすることも可能です。名前の横にあるグレーの丸をクリックします。
カラーパレットから好きな色を選択します。
レイヤーには『ADD』と表示されています。
Selection Setsで『Electra Block』をピン留めします。
これでこのレイヤー上で行うすべての操作に簡単にキーを設定できるようになります。
まずは立ち上がる直前(下記のポーズ)のフレームでkキーを使用してキーフレームを設定します。
たとえば、このエリアでキーを設定して、起立した状態がフレーム80であれば、そこで再度キーを設定できます。
Windows>Animation>Animation Editorを開きます。
Animation Editorを確認すると、表示されている値がゼロであることが確認できます。
つまり、現在のところ下層にあるアニメーションとまったく同じ動きが再現されているということです。
アニメーションを変更したい場合は、コントロールを選択して、必要に応じてアニメーションを調整しキーを追加していきます。
中腰ポーズになったフレームで
色々なコントローラーを使用し、ポーズを調整してキーフレームを追加します。
Animation Editorを確認します。
チャンネルの値がゼロから調整された値へと変化しているのがわかります。
すべて加算形式で反映されており、調整が加えられています。
また、このチャンネルの内容を確認したい場合、Animation LayersにてSettings>『Layer Membership』をオンにすることで確認できます。
この設定では、レイヤーに含まれるすべてのコントロールが表示されます。
これを一旦オフにしますが、Settingsメニューで表示内容を調整することも可能です。たとえば、Lockの列を非表示にすることで、表示項目を最小限にできます。
これでアニメーションが設定できました。
彼女が横を向いて、元の位置に戻る動きが加えられています。
少数のキーでアニメーションを素早く調整・変更できるので、とても便利です。
また、指の動きのように多くのキーが必要な部分も、別のレイヤーに分けると良いでしょう。さらに、足の接触などの細かいディテールも、別レイヤーで管理することで整理しやすくなります。
さらに進めて、レイヤーを複製することもできます。
レイヤーを複製して異なる動きを試したい場合に便利です。
例えば、このレイヤーでキャラクターを少し上向きにしたいと思います。
レイヤーを複製して調整を加えれば、すべてが加算形式で反映されます。
赤い禁止マークはミュートです。ミュートをオフにすると、少し異なる動きになります。
必要に応じてレイヤーをミュートすることもできるので、変更を試しながら確認することが可能です。
この機能の良いところは、非破壊的であるため、いつでも元に戻して調整できる点です。
さまざまな動きを試して、それがうまくいくかどうかを確認できます。これにより、アニメーションの表現を広げたり、探求したりする余地が生まれます。ここでは両方のレイヤーをミュートしておきますが、設定が完了したレイヤーはロックすることもできます。ロックすると、そのレイヤーに誤って変更を加える心配がなくなり、作業のミスを防ぐことができます。
機能をさらに確認していきます。
その一つが新しいMirrorツールです。
Electraセットアップを選択し、Altキーを押しながらドラッグしてすべてをコピーします。
yキーを押しながら、切りたいワイヤをドラッグするとネットワークを切断することができます。
コピーを終えたら名前を『Metal』に変更します。
次にElectraのパラメータに入り、マテリアルをMetallicに変更します。
これまでと同じ手順で、このMetal Electraを新しい設定に追加できます。
これで、シーンにメタリックなElectraが追加されました。
フレーム1にキーを設定します。
新しいキャラクター『Metal』とそのコントロールがSelection Setsに追加されています。
Animation LayersでBaseAnimationを選択していることを確認します。
Selection Setsでelectraを選択し、Ctrl+Cでキーをコピーするか、右クリックして『Copy Selection』を選択することもできます。その後、『Metal Electra』を選択してCtrl+Vで貼り付けることができます。
これで、メタリックなElectraがポーズをとった状態になり、他のElectraをオフにすると、メタリックなElectraだけが椅子に座っているのが確認できます。このように、ポーズ設定だけであれば素早く実行できます。
この操作はElectraのコントロールで行われているため、このポーズのみが反映され、アニメーション自体はコピーされていません。では、もう一つの椅子をシーンに追加します。
椅子を確認し、コントロールを選択してCtrl+Cでコピーし、Ctrl+Vで貼り付けます。これで、椅子が追加されました。
もし、Selection Setsでピンが設定されていたら一度すべて解除します。
1つ目の椅子のコントローラーを選択し、Ctrl+Cでコピーし、
新しく追加した椅子のコントローラーを選択し、Ctrl+Vで貼り付けます。
追加した椅子が1つ目の椅子と同じ位置に配置されました。
元のElectraと椅子の表示をオフにして、
メタリックなElectraと椅子1だけを表示します。
それらを選択してビューポート内で右クリック>『Mirror with Plane』のオプションを選択します。
Shift+Mでミラーリングを実行することができます。
椅子とElectraのミラーが作成されました。
Control+Gを開くと、ミラー設定が表示されます。
ここで回転させると、Electraの頭が少し逆向きになっていますが、
『Flip Axis』をX軸に切り替えると、正しい向きに調整できます。
椅子を回転させて少し離れた場所に配置することもできます。
操作中はアウトラインのみが表示され、Enterキーを押すまで実際の変化は起こりません。
これで、椅子に座るポーズのElectraが配置され、もう一方のElectraもシーンに表示されました。
1つのポーズをコピーしただけなので、アニメーションはコピーされていません。ミラーリング機能を使って、すばやく回転や再配置を行う方法として便利です。
このパートはここで終了です。
次のパートでは、他のいくつかの機能について見ていきましょう。
Houdiniでアニメーションを作ろう パート8:Transient Constraint(一時的なコンストレイン)とモーションパスの表示